７月31日（土）【シベールの日曜日】(DVD)
　戦争で心に傷を負い、記憶をなくした青年ピエールは、親に捨てられて寄宿学校に入れられた少女と出会う。日曜日ごとの逢瀬は二人にとって得難い時間となるが、ピエールの恋人は、彼の行動に疑問を持ち……。
　孤独な二人の魂が純粋に魅かれあう、二人の日曜日の描写は儚い美しさに満ちて、本当に美しい。こんな日曜日を送ってみたいな。悲劇が待っていないのならば。冬枯れの木立と鏡のような水面は孤独と純真の象徴のよう。これに対する純粋なものを理解しようとしない「普通」の人々の酷薄さもまた、きっちりと描かれて、悲劇を際立たせております。パトリシア・ゴッジちゃんは、素晴らしく愛くるしい。寂しさをたたえた黒い瞳がとても印象的。あまりに切ないラストには落涙。不安と虚しさでいっぱいのハーディ・クリューガー演ずるピエールには、共感しちゃうな。モノクロの映像は素晴らしく美しく、控えめな音楽もいいな。『小さな唇』や『キャメロット・ガーデンの少女』はここから発しているのね。セルジュ・ブールギニョン監督、1962年の作品。いうまでもなく傑作ですね。

７月23日（金）【ブルー・ベルベット】(DVD)
　アメリカの田舎町、父が倒れて帰郷した青年は、原っぱで人間の耳を拾う。ガールフレンドの父である警察官に届けるが、事件に興味を持った青年は、セクシーなクラブ歌手の部屋を調べはじめ……。
　ずいぶんと前に買ったままだったDVD、デニス・ホッパー追悼特集ということで、見てみました。真っ青な空と緑の芝生、色鮮やかな花々、人工的な色彩で描かれる平和な田舎町、その裏側に潜む狂気の世界も独自の美学に貫かれて美しい。デニス・ホッパー扮するマザコンでサディストでベルベット・フェチのフランクのイカレっぷりは最高ですね。酸素マスクでスーハーしながら、エロい人妻をいたぶるシーンは、目が釘付け。いたぶられるマゾヒストで情緒不安定なイザベラ・ロッセリーニも、腐りかけの果物のような異様なエロスを発散して、素晴らしいです。クラブで「ブルー・ベルベット」を歌うシーンもとってもエロティック。腐臭を放つアメリカの夢を悪夢のような美しさで描いたデビット・リンチ監督1986年の秀作。

７月19日（月）【ナイト・タイド】(DVD)
　これも何度も見たくなる幻想怪奇映画。ひなびた港町と遊園地、幻に生きているような美女、若き日のデニス・ホッパー扮する繊細な青年。異邦人が夢見たような一時の儚い幻のような恋。いいなあ。詳しくはこちら。

７月12日（月）【スパイダー・ベイビー】(DVD)
　何度見ても傑作だなあ。殺人姉妹のキュートさは素晴らしい。哀感溢れるロン・チェイニー・Jr.もいいなあ。『マーダー・ライド・ショー』『デビルズ・リジェクト』でキャプテン・スポルディングを演じるシド・ヘイグの若き日の怪演も見ることができます。詳しくはこちら。

７月11日（日）【アデル　ファラオと復活の秘薬】
　二十世紀初頭のパリに翼竜プテロダクティルスが出現する怪事が起る。女性ジャーナリストのアデルは元凶の科学者に、昏睡状態の妹を助けるために、古代エジプトの医師のミイラを復活させてもらおうとするが……。
　リュック・ベッソン監督の新作は、女性版インディ・ジョーンズみたいな話かと思いきや、パリが大半の舞台となるコメディーなのでした。しかも二十世紀初めという時代設定にふさわしい？ゆるい感じのユーモアが溢れる楽しい映画。最近にはない類いの映画なので、新鮮に感じられました。ヒロインのアデルも活動的な女性ではあるものの、今風の戦うヒロインとは一線を画して、かわいく描かれております。入浴シーンでおっぱいの見えるサービスあり。いい映画だ（笑）。

７月９日（金）【LOVERS】(DVD)
　久しぶりにチャン・ツィイーのキツイ目が見たくなって（笑）、見返してみました。話の方は、それはないだろ、みたいな部分もなきにしもあらずだけど、チャン・ツィイーの艶やかな七変化と美しいアクションを見ていれば120％満足な映画。もう武侠映画には出てくれないのかなあ。詳しくはこちら。

７月７日（水）【イーオン・フラックス】(DVD)
『ウルトラヴァイオレット』を見るとセットで見たくなる（笑）。シャーリーズ・セロンのエロいアクションを見てればシアワセな映画。話は説教くさくてダメ。詳しくはこちら。

７月３日（土）【ハロウィンII】
　ローリーは親友アニーの家で暮らしているが、殺人鬼マイケルの幻想に悩まされ続ける。一方ルーミス医師は事件をネタに新たな本を執筆し金もうけに走る。復活したマイケルは母親と幼い自分の幻に導かれるままに、ローリーをつけねらうが……。
　ロブ・ゾンビ監督によるリメイクの続編。オリジナルの二作目と関連があるのかは未見なのでわかりません。幾度となく、白馬を伴い、白衣をまとったマイケルの母（シェリ・ムーン姐さん）と少年の姿のマイケルの幻想シーンが挿入されて、失われた家族をあの世で？再生させるのがマイケルの目的らしいということが暗示されます。こういった提示の仕方はロブ・ゾンビ作品としては新しいかな。一方で、殺害シーンの残酷さはエスカレートしており、非常に痛々しいゴリゴリのリアリズム・スプラッターで、思わず目を背けるよう。さらにルーミス医師の人非人ぶりが拍車をかけます。風景描写などの映像は深みのある美しさ。全体的にはマイケル、ローリー、ルーミス三者の描写が絡み合うようで絡みきれずに、ポイントが絞れていない感があるのがちと残念ですが、ファンタジーとスラッシャーの強引な合体という力技は誰にでも出来るものではないでしょう。

７月３日（土）【さんかく】
　佳代と同棲中の百瀬は、夏休みに泊まりに来た佳代の妹、中学生の桃に夢中になってしまう。桃が帰った日、佳代に別れを告げるが、佳代はストーカーとなって百瀬につきまとい……。
　十五歳の少女にメロメロになってしまう三十男を描いたロリータ映画かと思いきや、後半はストーカーと化した佳代、彼女に悩まされつつ桃にも相手にされず悶々とする百瀬を描いて泥沼の三角関係。佳代が自殺を図って警察沙汰になったりして、実は相当に深刻なことになっちゃうんだけど、芝居くささのほとんどない超リアリズムが、かえっておかしさをかもし出しております。三角関係の三人、それぞれに愚かで身勝手なんだけど、とってもリアルな誰にでもある愚かしさと身勝手さを描いているんで、身につまされます。桃役の小野恵令奈は、ムッチリした体にちょっとハスキーで舌っ足らずな台詞回しが絶妙で、見事なはまり役。吉田恵輔監督。

７月２日（金）【アイアンマン２】
　自分がアイアンマンであることを公表したトニーは、社長業を秘書のペッパーに押しつけ、派手な生活を送るが、命を保つためのリアクターが逆に生命を蝕みはじめる。彼の父に恨みを持つイワン・ヴァンコがロシアから現れ……。
　イワン・ヴァンコにミッキー・ローク、謎の女にスカーレット・ヨハンソンという豪華キャストの続編。ユーモアを交えて死の恐怖におびえるトニーのメチャクチャな生活を描く前半がやけに楽しいな。ああ、俺も金持ちになりたい（笑）。派手なドンパチが続く後半も盛りあがりますが、今回も敵はただの私怨なので、内輪でガチャガチャやってる感は否めません。アイアンマンの本当の敵はどこにいるのでしょうね。スカーレット・ヨハンソンはそれなりに見せ場は用意されていますが、もっとエロエロな姿を見たかったな（笑）。 ジョン・ファヴロー監督。

７月１日（木）【ウルトラヴァイオレット】(DVD)
　何となく見返してみました。何回見ても、アクション、すんごくカッコいいなあ。興行的にはこけてしまったみたいだけど、カート・ウィマー監督、次回作はないのかなあ、と思ったらジョリ姐の新作『ソルト』の脚本など書いているのでした。詳しくはこちら。