7月21日(火)【劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 後編 永遠の物語】
魔法少女の存在意義を知ったまどかは混乱する。杏子とともに魔女と化したさやかを救おうとするも失敗、町には最強の魔女「ワルプルギスの夜」が迫る。ほむらが時間を遡り、自分を救おうとしていたことを知ったまどかは、魔法少女になる決意をするが……。
話はあっというまに広がって、全宇宙的規模の壮大なSF?に。さらに同じ時間を繰り返すほむらとまどかの潜在的な力の関係から、宇宙的救済の物語にまでつながって、いったいどれだけ大きな風呂敷なんでしょう(笑)。畳むのに失敗しているとかいうことはなくて、ちゃんと着地はするんだけど、結局は自己犠牲で決着をつけるというのは、どうも頂けない気がする。どれだけ“少女”に幻想を見ているんでしょうか(笑)。まあ、セカイ系というやつなのでしょうか。新房昭之総監督、宮本幸裕監督。
7月15日(水)【ブリング・ハー・バック】
父を亡くしたアンディとパイパーの兄妹はローラという里親の元へ。娘を亡くした経験を持つローラは二人を歓迎する。家にはオリバーという言葉を発せない少年もいた。ローラもオリバーも次第に奇妙な行いを見せ始め……。
失った人への執着をテーマにしたホラー。基本的には娘への思いを絶ちきれないローラが狂気の世界へ突入していく話だけど、それと平行してアンディと父親との確執も語られていき、家族の中に潜む愛憎と人への執着がおぞましいものへと変貌していく様を描いた“家族ホラー”。親の再婚で義理の兄妹になった二人の関係や、パイパーが弱視という点もうまく活かされ、上出来ですが、まあ、暗いですね。特殊メイク中心の血みどろ描写はなかなか。この作品でもVHSのヴィデオが効果的に使われていて、一種のブームなのね(笑)。ローラ役は『シェイプ・オブ・ウォーター』やアメリカ版『ゴジラ』シリーズのサリー・ホーキンスが熱演。ダニー&マイケル・フィリッポウ監督。
7月13日(月)【変身忍者 嵐 第十二話 地獄の怪人! ゲジゲジ魔!!】(DVD)
血車党は化身忍者ゲジゲジ魔を使い、石油採掘のために村人を強制労働させていた。逃げ出した男をハヤテらは助けるが、タツマキとツムジは捕らえられてしまう。ツムジは女装してドクロ館に潜入するが……。
今回は越後が舞台。油井のミニチュアなども登場します。ムカデの次はゲジゲジって笑っちゃうけど、自分の体を刀で斬り裂いて分身する六つ身分身っていうのはなかなか過激。腹ばいになって高速移動するゲジゲジ走りは、中の人、大変そう。体から石油を噴きだして火を付ける火炎地獄というのもエグイ技。話の方は、村人を拉致して、誰かが捕まって……というパターンになりつつあるなあ。なお、ツムジが女装しても萌えるものはありません(笑)。浪江志摩脚本、内田一作監督。
7月13日(月)【劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 前編 始まりの物語】
中学生のまどかは不思議な生き物キュゥべえを助ける。キュゥべえは願いを叶える代わりに魔法少女になり魔女と戦う契約を持ちかけるが逡巡する。親友のさやか、先輩魔法少女マミや謎の転校生ほむらと魔女との戦いを経験する中、先に魔法少女となったさやかは……。
名作とされる高名なアニメだけど、初めて見ました。2012年のテレビ版総集編映画の再公開。魔女が作り出す結界の中は、コラージュの洪水に影絵的表現なども交えて、シュルレアリスムやポップ・アート、70年代的アングラの雰囲気で、ほとんど実験アニメのアーティスティックな世界で素晴らしい。現実世界の方はまあ、普通ですが、毒々しい真っ赤な夕焼けなどは印象的。それでも変身シーンはお約束を守るのね(笑)。話の方は暗くて残酷。どこまでも「私なんて何の取り柄もなくて……」とグジュグジュし続けるまどかも辛気臭いです。若いころ見ていれば感動したのかもしれないけど、子どもを戦いに巻き込むなよって気持ちの方が先にたっちゃうね。そういう意味では『エヴァンゲリオン』と同じだな。新房昭之総監督、宮本幸裕監督。
7月9日(木)【氷血】
悠希は夫と息子とともに、認知症の義父の介護のため、雪深い福島に引っ越す。義父は白い女の絵を描いては狂乱し、雪の中を徘徊したあげく死んでしまう。悠希もまた白い女の幻影を見るようになり……。
『雪女』をベースにしたホラー。前半はやや冗漫ですが、じわじわと起こっていく恐怖描写はなかなか冴えております。テーマは有害な男らしさ。女性を縛り支配しようとする男たちが雪女に復讐されていく様は、恐ろしくもあり痛快でもあります。『四谷怪談』をはじめ、日本の怪談映画では踏みにじられた女性が幽霊となって復讐するのは定番。現代を舞台に今風なテーマを語りながらも、伝統に則った一作とも言えます。雪女に取り憑かれた義父を佐野史郎が熱演。息子の子役もなかなか。時代劇でよく顔を見た渡辺哲が村の老人の役でいい感じでした。“秘密の部屋”は男の妄執を閉じ込めたようで、不気味でいいな。まあ、もうちっと雪女を美しく描いてほしかったという気はしますが、なかなかいい作品。『ライチ☆光クラブ』などの内藤瑛亮監督。『禍禍女』の脚本も書いていたのね。
7月8日(水)【変身忍者 嵐 第十一話 血どくろ谷のドクモリバチ!!】(DVD)
血車党は化身忍者ドクモリバチを使い、子どもたちを誘拐、下忍に育てようと企てる。嵐をおびき出すためにツムジは子どもたちとともに捕えられ……。
冒頭に、山中湖から関所を通らず江戸に抜ける世附(よづく)峠越えの道と、具体的に実在の地名が登場します。だからどうだってことはないんだけどね。途中でおむすびころりんみたいなコミカルな場面もあり。ドクモリバチって蜂だから“毒盛り”なのかと思ったら、毒銛だったんですねえ。なぜか場面によって体色が大きく変わっていたりします。さらってきた子どもたちを髑髏汁(髑髏を煮出してる!)につけて、洗脳?しようとする場面ではツムジが活躍。カスミちゃんはまた生足に戻りました。こっちの方がいいな(笑)。大川タケシ脚本、内田一作監督。
7月7日(火)【THE ORIGIN OF ULTRAMAN】
ウルトラマン六十周年記念のドキュメンタリー。是枝裕和が企画で、いきなりギレルモ・デル・トロとの対談から始まるのは、何だか不思議。是枝裕和とウルトラマンって、イメージがつながらないけれど、1962年生まれだから直撃された世代なんだな。庵野秀明に樋口真嗣、ゲーム・クリエイターの小島秀夫ら、同年代の人々は庵野秀明の言葉を借りれば“呪われている”。映画館の大画面で見る六十年前のウルトラマンは、ミニチュア・セットの素晴らしさや水や炎のダイナミックさがより伝わってきて、改めて何と贅沢な映像なんだと思う。ウルトラマンと怪獣たちの存在感と素晴らしいデザイン、金城哲夫ら若い脚本家の描き出す社会性に富んだ物語、唯一無二の真に新しいものに子ども時代に出会えたのは、何とシアワセな“呪い”だろうか。中村裕、吉田一貴監督。
7月5日(日)【変身忍者 嵐 第十話 死を呼ぶ! 吸血ムカデ!!】(DVD)
化身忍者吸血ムカデは血を吸った者を自在に操り、藤沢の宿から日本支配の魔の手をのばそうとしていた。旅先で出会った飛脚の異変に気づいたハヤテらは……。
吸血ムカデは文字通り毒々しい色彩でなかなか気持ち悪いです。血を吸われた者は首筋に跡が残り牙が生えて操られると、まさに吸血鬼ですが、さすがにムカデの姿にはなりません(笑)。久々に藤沢宿と具体的地名が出てきて、宿場町が舞台。東海道から日本支配を目指すという“構想”も語られます。飛脚も登場して時代劇らしい?展開。タツマキは江戸の万物先生とやらのところへ解毒剤をもらいに走ります。一日で往復したように見えますが、藤沢から江戸まで五十キロ、さすが忍者走り。今回はカスミちゃんは生足ではなく、薄い黒のストッキング的なものをはいています。井上勝脚本、山田稔監督。
7月3日(金)【捜索者】(DVD)
南北戦争が終わって数年、イーサンは兄夫婦の家へ帰ってくる。だが、コマンチ族が襲撃、兄夫婦とその息子は殺され、二人の娘は連れ去られる。イーサンと長女の恋人ブラッド、先住民の血が入ったマーティンは、捜索を始めるが……。
ジョン・フォード監督、ジョン・ウェイン主演の西部劇。同名小説が原作だそう。1956年の公開当時は失敗作とされたけど、今では西部劇の最高傑作とまで評価されているそう。イーサンは先住民を憎むあからさまな人種差別主義者で、自らが拾って兄夫婦が家族として育てたマーティンにさえ冷たい態度を取る。それどころか、数年にわたる捜索の末にやっと見つけた次女のデビーが先住民の妻になっていたと知るや、「もう白人ではない」と殺そうとする。死に瀕した時にはマーティンに遺産を譲ると言い出し、デビーを受け入れて彼女も故郷の町に戻り、マーティンは恋人と結ばれ、形としてはハッピーエンドなのだが、イーサンの居場所はそこにはない。イーサンは当初捜索にあたったテキサス・レンジャーズの粗野な男たちとも身勝手さゆえに衝突する。時代に取り残された男の悲哀を描いているともとれるが、イーサンの頑なな先住民憎悪は共感を阻む。
ブラッドは先住民に殺されるが、その父親は「この国が悪いんだ」と何度も口にする。暴力で成立しているかのようなアメリカという国への告発とも取れるが、「この国」の“悪”に先住民の虐殺が含まれてはいるとは到底思えない。コマンチ族は凶暴で悪辣で頭の悪い“倒すべき敵”としてしか、描かれない。コマンチ族に囚われていた女性たちは先住民の残酷さを強調するかのように正気をなくした様で描かれ、そこでもイーサンは「もう白人じゃない」と口にする。酋長の「息子が二人、白人に殺された」という台詞はあるものの、残虐な侵略者としての白人という視点は、この映画にはまったくない。(その酋長は白人が演じている!)先住民に襲われ、殺されても、それはまったくの自業自得だというのに。
マーティンが毛布を買ったつもりだったのに、コマンチ族の“妻”を買っていた、という場面はどうやら笑う場面らしいのだが、先住民を劣ったものとして描く差別描写以外のなにものでもない。マーティンの恋人の結婚をめぐるドタバタもコミカルな場面らしいが、粗暴で野卑なだけ。騎兵隊がコマンチ族を襲撃するシーンは、やけに勇ましく描かれる。コマンチ族の女性や子どもが逃げ惑う場面もあるが、彼らの生活を根底から破壊したことへの反省など1ミリもない。
モニュメント・バレーの雄大な自然や開拓民の素朴な生活など描いても、何の言い訳にもならない。おぞましい人種差別主義者が、侵略と暴力の歴史の中で、ちょっとばかり寂しげな顔を見せたからといって、何にもならない。『風と共に去りぬ』同様、公開には十分な注意書きが必要な映画。これが西部劇の“傑作”とは片腹痛い。
7月2日(木)【スーパーガール(2026)】
スーパーマンの従妹カーラ・ゾー=エルは、悪党集団ブリガンズのクレムに両親と兄を殺された少女ルーシーに復讐の手助けを頼まれる。断るも愛犬クリプトがクレムの毒で瀕死となり、二人はクレムを探して旅立ち……。
新生DC映画の第二弾。1984年の旧作は途中で寝てしまったという記憶が。スーパーガールはきったない宇宙船でバカ犬クリプトと暮らすアル中女として登場(笑)。やさぐれ気味の彼女が暴れる前半はなかなか楽しいです。故郷のクリプトン星を失った過去などが描かれて、だんだん普通になっていきますが、黄色い太陽を浴びれば無敵状態になってしまうので、アクションは派手でもイマイチの緊迫感かしら。そこら辺はスーパーマンと同様の“弱点”。敵のクレムは少女たちを拉致して人身売買という悪人ですが、そこら辺で社会性を持たせると言うわけでもなし。クライマックスの戦いは例のコスチューム姿になりますが、スカートの下が短パン状というのは何だかなあ(笑)。ルーシーのイブ・リドリーちゃんはちょっとアジア風の美少女。ジェイソン・モモアの賞金稼ぎのロボは、いかにもアメリカン、って、宇宙人もみんなアメリカ人だけど(笑)。ところで、スーパーガールは地球の生活に馴染めずに宇宙で酔っ払いになっているらしいけど、そこら辺の事情はなぜか描かれず。その割りにはアメリカナイズされたやさぐれ生活ですが、何があったの? クレイグ・ギレスピー監督。
7月1日(水)【ウルトラマン 第三十九話 さらばウルトラマン】(TV)
地球に円盤群が襲来、科特隊が迎え撃つが、すでに潜入していた宇宙人は科特隊本部を中から破壊する。本部間近に出現した宇宙恐竜ゼットンはウルトラマンの攻撃を寄せ付けず……。
最終回は冒頭から緊迫した雰囲気ですが、パリ本部の命令を受けてから迎撃するなど、抑制的でもあります。科特隊本部が内部から破壊され炎上する場面は子ども心にも非常にショッキングなものだったという記憶があります。もちろん、その後のウルトラマンの敗北と死もですが。炎上する本部を消火する放水銃の描写はやけにリアル。ゾフィーとの対話での「私はもう二万年も生きた」「私は命を二つ持っている」という台詞は、ウルトラマンが人間とは明白に異なる存在だと強く印象づけるもの。“恐竜”とは言いながら、目も鼻も口もない異様で硬質なゼットンのデザインと造形も素晴らしく、ウルトラマンとの対決は異形のもの同士の戦いという趣。“赤い球”のみならず、ゼットン登場時の青い風船状のものが一瞬“青い球”になる描写は、第一話ときちんと対応。ハヤタの記憶が竜ヶ森から途切れているなど、単純に情緒的な話にせずに謎めいたものも残して終わる、見事な最終回。金城哲夫脚本、円谷一監督。
