１月31日（火）【アッシャー家の末裔】(DVD)
　何となく見返してみました。サイレントなのに「音」にこだわった描写は、何度見てもすごいなあ。ラストのビーズをちりばめたような星空とミニチュアというか、おもちゃのような城館の崩壊シーンも好き。詳しくはこちら。

１月29日（日）【ダーク・フェアリー】
　両親が離婚し、父親と新しい女性とともに、古い屋敷にやってきた少女サリー。屋敷の地下には何ものかが潜み棲み、サリーに「友だちになろう」とささやくが……。
　トラウマ映画として一部で有名な『地下室の魔物』をギレルモ・デル・トロがプロデュースと脚本でリメイク。監督は元マンガ家の新鋭トロイ・ニクシー。オリジナルは情緒不安定な若妻が正体不明の魔物の恐怖におびえるも、誰も信じてくれずに……という話なんだけど、このリメイクでは主人公は少女、魔物は子どもの歯が好物の邪悪な妖精という変更がなされている。『パンズ・ラビリンス』などを彷彿とさせるデル・トロ印のダーク・ファンタジーになっていて、80年代ホラー色も濃い、まっとうなホラー映画。それはそれで良くできているんだけど、オリジナルの持っていた得体の知れない嫌な雰囲気、恐さといったものは、失われている。もうひとつ大きな改変は、ヒロインに理解者がいるということ。切ないラストにつながっていて、これはこれで有りなんだけど、でも、不条理な恐怖といつまでも残る後味の悪さというオリジナルの魅力？は薄れています。まじめに作られたいい映画なんだけど、評価が難しい作品。屋敷の元の持ち主がブラックウッドだったり、父親の大事な客が（カール？）ジャコビだったり、舞台がロードアイランド州プロヴィデンスだったり、マニアへの目配せはたっぷり。何よりこれはラヴクラフトの『壁の中の鼠』だと思うと、納得のいく仕上がりです。

１月22日（日）【ジョニー・イングリッシュ　気休めの報酬】
　任務の失敗からチベットで修業中の英国スパイ、ジョニー・イングリッシュに新たな指令が下った。首脳会談中に中国首相を暗殺しようとする計画を阻止せよというのだが……。
　Mr.ビーンのローワン・ワトキンソン主演のコメディ。とぼけた表情と絶妙な動き、人を食ったギャグの数々で大笑い。それでいて、アクションもなかなかで、一粒で二度おいしい。007を中心にしたパロディもいろいろあるようですが、元ネタをあまり知らないな。いかにもイギリスらしいブラックでシニカルなユーモアが楽しい映画。特に最後の王室関係のネタはいいな。民主主義の国だね。日本じゃ絶対やれない、この情けなさ。ピーター・ハウィット監督。

１月22日（日）【ミッション：インポッシブル　ゴースト・プロトコル】
　秘密諜報員イーサン・ハントはクレムリンに侵入するが、爆破事件が発生、その犯人にされてしまう。組織の援助もないまま、仲間と真犯人の核テロリストを追うが……。
　シリーズ四作目は、ドバイ、ムンバイが主要な舞台で、世界の最先端はもはやアメリカやヨーロッパではないんだな、という感慨あり。適度なユーモアを交えつつ、ど派手なアクションが連続する上出来の娯楽作。ドバイの世界最高層ビル、ブルジュ・ハリーファのシーンはハラハラドキドキ。セルフ・パロディのような感もあるし、世界を核戦争で滅ぼそうとするテロリストというのは、嘘っぽいけど、気にしない（笑）。なお、奥さん関係のエピソードは蛇足感あり。スパイは家庭を持っちゃダメだね（笑）。『Mr.インクレディブル』のブラッド・バード監督。

１月15日（日）【三国志英傑伝 関羽】
　戦国時代の中国、曹操の捕虜となった関羽は敵将を倒す活躍を見せるが、義を重んじる関羽は本来の主君、劉備のもとへ去る。曹操はこれを認めたはずだが、次々と刺客が襲いかかり……。
　ドニー・イェン主演の三国志映画。関羽は義理堅い生真面目な英雄、これに対する曹操は関羽を認めながらも利用する現実主義者で、この二人の対比がうまく描かれております。青龍偃月刀を操るドニー・イェンは豪快かつ華麗なアクションで、当然カッコいいんだけど、曹操役のチアン・ウェンの渋い存在感が光りますね。主役は実は曹操といっても良いかもしれません。主君の妻との悲恋も絡めて、よくできた映画。フェリックス・チョン、アラン・マック監督。

１月９日（月）【宇宙人ポール】
　イギリス人のSF作家クライヴとイラストレーターのグレアムは、サン・ディエゴのコミコンを訪れる。その足でエリア51などをめぐる旅に出かけた二人は、目撃談や映画そっくりの宇宙人ポールと出会うが、ポールは追われていて……。
『未知との遭遇』『E.T.』などのオマージュを捧げるSFコメディー。70年代末のスピルバーグ映画に対するリスペクトが炸裂しているんだけど、もっとオタク向け（笑）な話かと思ったら、誰でも楽しめるちゃんとした？娯楽映画でした。諸々の細かいネタを知っていれば、もっと楽しいだろうけどね。一番いいのは、気弱なオタク中年に対する共感と優しさかな（笑）。片方に恋人ができそうになると、もう一人が微妙に「嫉妬」するあたりの描き方とか、泣けるものがあります。かと思えば、アメリカの宗教右翼には辛辣な皮肉を浴びせていて、これもとってもいいね（笑）。馬鹿な宇宙人映画が並んだ2011年だったけど、締めにこれがあってよかったな。同じリスペクト映画でも、ただなぞってしまって縮小再生産の『SUPER 8』とは、随分違う出来。グレッグ・モットーラ監督。

１月２日（月）【逆襲大蛇丸】(DVD)
　去年の正月に前編の『忍術児雷也』を見たままになっていたので、後編のこれを見てみました。田崎潤の大蛇丸がとにかく豪快でいいな。詳しくはこちら。