スパイダーマンことピーター・パーカーは、恋にヒーロー活動に忙しい。自分の力を過信したピーターは、異星人の武器を使った強盗団と遭遇、彼らの武器取り引きの現場を押さえようとするが……。
二度目のリブート作は、スパイダーマンになるいきさつもベンおじさんの死もすっ飛ばして、恋と友情、そして若者の成長をユーモアを交えて明朗に描いて、楽しい。演ずるトム・ホランドもはまり役。オタクな親友ネッドとのやりとりもいいな。対する悪役バルチャーも家族思いの労働者という地に足のついたキャラクター（空は飛ぶけど）。ピーターとの素顔での対決シーンが渋い迫力。マイケル・キートンが好演。似合わぬ？保護者代わりのアイアンマンもいい感じだけど、社長には末端の労働者の仕事を奪った反省はないんだろうな。そこまで描けばすごかったのに、もったいない。若者を描いたようで、実はおじさんが活躍する映画なのでした。ジョン・ワッツ監督。
８月20日（日）【トランスフォーマー 最後の騎士王】
人類はTRFなる組織を作りエイリアン狩りを進め、オートボット達はスクラップ場に匿われる。一方、母星サイバトロンで創造主クインテッサに洗脳されたオプティマス・プライムは、地球侵略の尖兵となり……。
シリーズ第五作は、いきなりアーサー王伝説から始まって、おおっと思わせるんだけど、シリーズ最高のガチャガチャした展開で、ほとんど全編予告編の寄せ集めのようなせわしなさ。話は前作からつながっているけど、ほとんど覚えてないから関係ないか（笑）。徹底した物量投入のCGに人間を組み合わせたアクションで、尋常ではない高密度映像が続くんだけど、話はパーで映像にもタメがないので、だからどうしたという気分になります。オプティマスはあんなにあっさり洗脳されていいのかよ。中盤からはアンソニー・ホプキンスが出ずっぱりで、イカレタC3-POみたいな執事ロボットと掛け合い漫才。存在感はあるけどね、これもだから何なの感ありあり。後半登場の美人教授もエロくていいですが、前半活躍のイザベラ・モナーちゃんは、何と『100 オトナになったらできないこと』のCJ役の娘だったんですねえ。出るとこ出てもロリロリしてて、いいなあ。これだけおもちゃ箱をひっくり返せるのも一つの才能か、マイケル・ベイ監督。
８月15日（火）【ウィッチ】
1630年のアメリカ東部、狂信的な清教徒のウィリアム一家は、街を追われる。長女のトマシンが子守をしている間に赤ん坊のサムが姿を消す。困窮する生活の中、奇怪な出来事が続き、トマシンは魔女だと疑われ……。
セイラムの魔女狩りなどを引き起こしたアメリカの魔女伝説に取材した映画。人間は皆、原罪を背負っているという信仰は、異常なマゾヒズムとしか思えないが、この映画はそうした世界からの女性の解放を描いて、ある意味爽快（笑）。信仰の欺瞞も家族の欺瞞もすべてぶち壊して、気持ちいい。思春期の性を抑圧し、安息日には遊ぶことも許されないという信仰は、それこそ邪悪そのものだね。精神的抑圧と貧困がもたらした狂気の幻想という描き方かというと、そうでもなくて、オカルト・ホラー映画的描写もしっかりあって、弟が神（悪魔？）に取り憑かれる場面などは『エクソシスト』的迫力。トマシンのアニヤ・テイラー＝ジョイちゃんは、惚れ惚れするような美少女で、とっても魅力的です。ロバート・エガース監督。
８月６日（日）【ザ・マミー 呪われた砂漠の王女】
古代エジプトで権力のために父王らを殺した王女アマネットは、生きたままミイラに。米兵ニックと考古学者ジェニーは、イラクでアマネットの眠る遺跡を発見するが、輸送機は墜落、アマネットは復活し……。
ユニバーサルがクラシック・モンスターを復活させるダーク・ユニバースの一作目。1932年の『ミイラ再生』の『ハムナプトラ』に続く二度目のリメイクですが、『ハムナプトラ』同様、オリジナルの味わいとはほど遠いアクション・ホラーになっております。アマネットの下僕のゾンビとの戦いや『狼男アメリカン』なニックにしか見えない親友の亡霊とか、80年代ホラーへの目配せもあり。『キングスマン』や『スタートレック BYOND』のソフィア・ブテラのアマネットはエキゾチックな美貌で魅力的。トム・クルーズの煮え切らないダメ男ニックが、アマネットにやられっぱなしなのも、いいんだけど、全体的にはとっちらかった印象。プロディジウムなる秘密組織が出てきて、ラッセル・クロウのジキル博士が仕切ってるんだけど、これが余分。一作目なんだから、チラ見せくらいにしておけばいいのに。太ったラッセル・クロウもミス・キャスト。例によってトム・クルーズ大張りきりのアクションも、盛り込み過ぎでかえって印象を薄めている。過去の作品にあった、時を超える愛憎の物語もないので、アマネットが現代で何をしたいのかよくわからない。というわけで、先行き不安なダーク・ユニバースなのでした。アレックス・カーツマン監督。
