２月24日（金）【徳川女刑罰絵巻　牛裂きの刑】(DVD)
　長崎奉行所の役人伊織は農民の娘登世と恋仲になるが、登世はキリシタンとして捕らえられる。奉行の高坂主膳は伊織の目の前で登世を犯し……。金も持たずに吉原で遊んで遊郭で働くはめになった捨蔵は、女郎たちへの残酷な仕打ちに辟易し、馴染みのおさとをつれて逃げ出す。美人局で捕まった二人には過酷な刑罰が待っていた……。
　二話オムニバスの東映残酷ポルノ。エログロ路線の極北として名高い作品ですが、作りが安いので残酷シーンそのものはまずまず？　一話目は狂気のサディスト奉行に扮する汐路章の大熱演が見所。後のスプラッタ映画が恐怖を突き抜けてコミカルになっていくように、この映画でもあまりの尋常ではない残虐ぶりが引きつった笑いを誘うまでになっております。イモリの踊り食いはよくできるなあ。何の脈絡もなく、突然始まる二話目は川谷拓三が主演で、金もないし知恵もない力もない男と女が、悲惨な現実の中で破滅する話。限りなくダメなボニー＆クライドだけど、こちらは川谷拓三のコミカルな演技で多少救われるような、そうでないような。牧口雄二監督、1976年の作品。

２月11日（土）【地獄】(DVD)
　夫の兄の子を身籠ったミホは夫と義兄の妻に殺される。死んだミホから生まれた娘アキは、養護施設で育てられるが、二十年後、偶然が重なり実家に戻り、異母兄の幸男と恋に落ちる。だが、ミホの地獄からの声に憑かれたアキはもう一人の異母兄松男とも関係を持ち……。
　中川信夫監督の『地獄』のリメイク？だけど、ほとんど別の話。横溝正史のような血縁どろどろの田舎ホラーの筋書きに、ロマンポルノのエース、神代辰巳監督の女と男の情念どろどろが乗算されて、さらに主演の原田美枝子の存在そのものがセックスであるかのような強烈な肉体と演技が加算されて、もうこれ以上はあり得ないような濃厚な世界が、冒頭から終幕まで、展開されます。おまけに主題歌が山崎ハコ。オープニングの何も映っていない真っ暗な画面に、彼女の歌が流れるシーンは、機械の故障かと思いました（笑）。
　公開当時、雑誌のグラビアで見た原田美枝子のヌード・シーンに脳味噌を打ち抜かれて、ドキドキしながら見に行ったら、実は期待ほどおっぱいが見えなくて（笑）がっくり、地獄の特撮シーンのあまりのチャチさにさらにがっくりした記憶があるんだけど、でも、そんなものは超越した凄い映画と再認識。助演陣も、岸田今日子、田中邦衛、石橋蓮司と濃い人ばっかり。祝DVD化。1979年の東映作品。なお石井輝男監督の『地獄』は、また別の話。

２月11日（土）【ソロモン・ケーン】(DVD)
　十七世紀のイングランド、悪行を尽くして悪魔に魂を狙われる身となったソロモン・ケーンは、改心の旅の途中で出会った一家と懇意になるが、侵略者マラキ一党に一家は惨殺され、娘は連れ去られる。ケーンは娘の行方を追うが……。
　コナンのロバート・E・ハワード原作のヒロイック・ファンタジー。ソロモン・ケーンというとアフリカが舞台というイメージだったんだけど、本作は冒頭にちょっと出てくるだけで、後はイギリス。多分、映画オリジナルのプリクェル的な話なんでしょう。なお、原作は九編中三編しか訳されておりません。つば広の帽子に黒マント、二刀流、二丁拳銃のケーンはカッコいいし、陰々滅々な雰囲気はなかなかのもの。小雪が舞う陰鬱だけど美しい画面、冷雨が降る中での泥まみれ血まみれの戦いはいい感じ。チャンバラも首だの手足が飛んで、ざっくり切り口も見せてくれます。後半の展開が今一つ、ラストがあっけないという難点もあるけれど、まずまず楽しめる作品。残念ながら日本では劇場公開ならず。映画館で見たかったな。コナンのリメイクも公開されないみたいだし、ヒロイック・ファンタジー不毛の地。秀作ホラー『デス・フロント』のマイケル・J・ バセット監督。

２月４日（土）【アッシャー家の惨劇】(DVD)
　こっちも見返してみました。ヴィンセント・プライスの大仰な演技がぴったりはまる、ゴシック・ホラーの傑作ですね。邪悪な家系というあたりは、あまり説得力ないんだけど、それでも、魅せられてしまうテンポの良さと効果的なヴィジュアル。ロジャー・コーマンは天才。詳しくはこちら。