11月３日（水）【梟の城】
久々の本格時代劇映画ってんで、見に行ったら、あれれ？忍者映画だし、痛快娯楽大作を期待していたんだけど、実は主人公の忍者たちが、「俺のアイデンティティーはどこにある？」と延々悩んだりシニカルになったりするお話でした。クライマックスは秀吉暗殺に寝所に忍び込んだ主人公と秀吉が、お互いに「俺はからっぽだ」みたいな問答を延々繰り返すシーン（らしい）。チャンバラシーンもあるにはあるけど、印象薄くカタルシスないです。葉月りおなはきれい。芝居はナニだが。もっと出て脱いでほしかった。鶴田まゆもそれなりにきれいだ。芝居もうまい。でも、脱がなかった。あー、何だかなあ。セットとかCGとか、美術はがんばっているので、一応見てみてね。時代劇が滅んじゃ悲しいし。お客は入っておりました。11月22日（月）【水のないプール】(LD)
何となく久しぶりに見返してみた。私がこれまで見た映画の中で、もっとも好きな映画のひとつです。内田裕也扮する主人公は、しがない地下鉄の切符切り、女房子どもを抱えた疲れた中年男。日々の生活にうんざりしている。ある日、強姦されそうになっていた若い女性を助けたことから、次第に彼の中に、抑圧されていた性への渇望がわき起こっていく。やがて、彼は仕事も家庭もうち捨てて、夜な夜な、一人暮らしの若い女性をクロロホルムで眠らせ、犯すことに熱中していくのであった。中村えりこの唇はとてもエッチでよい。内田裕也は、何回見てもカッコイイ。もう、俺もこの映画の主人公の年代だよなあ。そろそろ、町内の安全を守るために、パトロールに出てみるか。これは政治だ！（泣）。11月26日（金）【HEART】
移植された息子の心臓が入っている男をつけ回すお母さんのお話。のはずなんだけど、移植された方の男の、奥さんと浮気相手とのどろどろ三角関係が、メインみたいになっていて、お母さんの妄執みたいなのが、空回りしているような感じ。つまらなくはないけど。ネタがネタなので、単純にサイコ・ホラーとして楽しむという感じではない。HEARTということばが入っているヒット曲を使うという、音楽は、よくない。11月27日（土）【皆月】
女房に逃げられて会社も倒産したダメ中年男が、ソープ嬢と恋に落ちたり、ちんぴらの義弟に世話になったりして、自分を取り戻すみたいな話。管理社会の飼い犬みたいだった男が、自分らしく生きるようになる、というのはいいんだけど、それがやくざの暴力の世界による、みたいなのは、いやだな。どうも非日常のインパクトをつくるのに、日本映画は安易にやくざ、犯罪者の世界に走りがち。ソープ嬢に吉本多香美が扮して熱演で、エッチでいいけど、レナ隊員のイメージを壊したくない人は、見ないこと。11月27日（土）【白痴】
ビジュアリスト手塚真やりたい放題の怪作に仕上がっておりました。感覚としては『星くず兄弟の伝説』から、あまり変わっていないキッチュなＢ級テイストだけど、力業というか物量で押し切っている感じ。「まわりに惑わされず、我が道を行け！」というメッセージがストレートに描かれているのには、感動した。太平洋戦争が永遠に続いていて、国民の不満をごまかすために、テレビ局が、文化と称してくだらない娯楽番組を流し続けるっていう設定は、今の日本そのまんまだよね。永遠に続く過酷な経済戦争、競争社会、不公平な社会、右へ習えの管理社会、その不満や不安をモノへの欲望でごまかす。現在の競争社会、メディア社会、物欲社会に対する真っ正直な批判は、清々しさを感じる。そういう批判もしつつ、でも、アイドル歌手銀河の異様なステージ場面には、妙に力が入っていて、そういったものにどっぷり浸かっている自分も正直に出しているあたりも、いいなあ。損はないから見てね。11月30日（火）【仮面の忍者 赤影 金目教編】(LD)
ここ何年間か、ずーと買うかどうか悩んでいたのだが、とうとうＬＤボックスを買ってしまった。いやー、数十年ぶりに見返してみて、そのぶっとびぶりにびっくり。いきなり赤影たちは空を飛ぶし、平気で瞬間移動するし、刀の鞘はパンツァーファウスト（簡易ミサイルランチャー）になるし、スカーフが一瞬で巨大凧になるし、忍術というより魔法ですね。ちょっと前にはやったハリウッドの忍者映画どころではない、超人ぶりです。貝殻の盗聴器が出れば、ツーツーという無線の音が入り、白影が凧で飛べばヘリコプターの音がする、といったキッチュでポップな独特の演出も、素敵。おもしろいことは何でもありの想像力大爆発の世界。敵方の忍者も、顔面パックで、相手の顔を盗むくぐつ陣内とか、長い髪を振り回して竜巻を起こす闇姫とか、極めて個性的です。特撮は非常にラフな仕上がり（ピアノ線なんかいつも見えてる）だけど、そんなこと些細なことだと思わせるパワーがあります。技術じゃなくて、やはりセンスだ大事ということがよくわかります。買って良かった（泣）。
